ざ・てわざ展は無事終了いたしました。
ご来場いただいたみなさんに御礼を申し上げます。
5歳か10歳のころ、デパートといえば上野の松坂屋か日本橋の三越だった。やがてぼくが青年期になると西武やPARCOといったセゾングループが台頭し、それ以降三越は「ふるくさいもの」「お年寄りのもの」というイメージが定着し、次第に頭の隅っこへと追いやられていった。
ところが、いつのまにかご覧のような高齢化時代に入り、自分も年寄りになってみると、どっこい三越はなかなかいいのである。ただで座れる椅子がいっぱいあるし、店員はベテランぞろい。ゆったりと落ち着いた大人の雰囲気がある。
今回われわれの会場では主に絵画を展示していたが、どの客もゆっくりと時間をかけておのおのの作品を吟味し、そして200万や300万といった値段の絵が一点また一点とサラサラと売れていく、こんなデパートはめったにない。期間中わたしは毎日三越の会場へと出かけ、改めてその価値を認識した次第である。
あいにくぼくの作品は売れなかったが、将来につながるいくつかの話や、このデパートならではの出会いに恵まれた、充実の一週間だった。
2012年8月11日