1998年に制作した「ピエールの荷馬車」という作品がある。
ある生徒から一日教室でその作品の荷馬車部分のつくりかたを教わりたいというご要望があって、先日倉庫から作品を運んできた。そして改めて、まじまじと荷馬車を見ると、肝心の車輪のスポークがねじれて、歪んでいるではないか。思わずウーンとうなってしまった。
考えればこの荷馬車のホイールは、東急ハンズで売っている自然木(多分ツゲ)の輪っかを削ってつくったものだった。それが経年変化によって縮んだらしい。ホイールが縮んだものだからスポークがねじれてしまい、いまにも車軸からもげそうになっている。最後に展示したのは今年の一月、甘楽町展の会場だったが、そのときにはまったく気がつかなかった。
いろいろ考えたが結局は車輪をつくり直すしかなく、仕方なく今度は厚さ4ミリのシナベニヤの合板を材料にして、それを糸鋸で輪っかのかたちに切り抜いてホイールとした。合板ならば絶対に縮まないのだ。初期のころはそのことに考えが及ばず、ストラクチャー作品の土台などにもよく自然木を使って、おなじような失敗を繰り返した。ホイールが出来たらあとは簡単、車軸から八方にスポークを張ってそれでおしまい。ほんの2日で修理が完了した。
2012年3月24日