このたびの震災のあと、多くの方々から「大丈夫でしたか」という見舞いのメールをいただいた。さいわいわたしは大丈夫です。そのときは、いつものように自宅の作業場で仕事をしている最中だったが、なんの怪我もなく、被害といったら天井の梁の上に並べていた塗料の類がパラパラッと床に落下しただけ。平屋の一階にいたせいかさほどの恐怖も感じなかった。
その後東北東海岸の惨状が明らかになるにつれ、宮城県石巻市のミュージアム「萬画館」に展示中のトキワ荘のことが心配になった。だがこの時点では調べようがなかった。同時にイエローサブマリンのガラスケースが心配になり、秋葉原のラジオ会館へと向かった。するとシャッターが閉まっていて、当分のあいだ営業を見合わせるという張り紙が。中に入れないのでビルの外から店に電話したら誰も出ない。
ガーンである。
仕方なく秋葉原から戻ると「あなたのことを非常に心配している」という趣旨のメールが、海外から複数とどいていた。今回の災害が世界をも驚かせている事実を改めて実感。
その翌日こんどは逆にイエサブから電話があった。店はメチャクチャだそう。だがぼくの棚にはさほどの被害はないという。ほっと一安心。すぐにでも見に行きたかったが、それは少し待ってくれと言われた。
そして震災4日目の朝、石巻の萬画館から電話があった。トキワ荘は難をのがれたそうだ。津波がやってきて、波のしぶきが建物の屋根をも濡らしたが、浸水は一階までで、二階にあったトキワ荘に被害はなく、スタッフも全員無事とのこと。
「それはよかった。あんまり長くしゃべっていると回線が混雑するので。」
と、手みじかに電話を切った。
ま、わたしはそんなところだ。
———このたびの災害で被災され、不自由な非難生活を送っている方々に心よりお見舞いを申し上げます。そして犠牲になった多くの方々のご冥福をお祈りいたします。
2011年3月20日