4月16日からの3日間、米シカゴのホテルで開催されたミニチュアショーについて、改めて、きょうは標準語で。
4月15日午後3時30分、シカゴ「オヘア空港」着。
そこでひとりの日本人青年と遭遇。
その青年、横山裕亮さん(29才)は、成田からオヘアへ到着後、直後の継続便でマイアミへ飛び、そこからさらに飛行機を乗りかえてブラジルの奥地へと向かう予定だった。しかし運悪くマイアミ行きの便に乗りおくれてしまい、次便が出る翌日までどこかで待機せねばならぬのだが、英語がわからず途方にくれているという。
「なら今夜ぼくの部屋に泊まったら?」
で、はなしがまとまり、青年をひろって空港からホテルへ。
—–下が宿泊ホテル「シカゴ・マリオット・オヘア」のウェブサイト。
http://www.marriott.com/hotels/travel/chiap-chicago-marriott-ohare/
そんな事情から、このたびの搬入と陳列はその青年が手伝ってくれ、おかげで難なく完了。そして青年がマイアミへ去ったあとは、こんどは「さかつう」(巣鴨のホビーショップ)の坂本直樹さん(33才)がぶらりとやってきて「手伝います」という。それからの3日間、彼はじつに気の利いた気配りで接客や販売、ときには商品の説明までをこなしてくれた。横山さんといい坂本さんといい出かけるまえには予想だにしなかった若手サポート陣の登場によって、前回ここに書いたようなしんどさは、さほど感じずにすんだ。また、うちの倶楽部からは古橋いさこさんと正影智子さんのご両人が、ご夫婦でいらっしゃっていて、常にそばにいた。したがってあんまり英語を話す必要もなく、言葉で悩まされることもほとんどなかった。
しかし肝心のショーは、時をおなじくして発生したアイスランドでの火山噴火のため、ヨーロッパからの飛行機便が途絶え、いつもの7掛け程度の客の入り。加えてドバイショックの影響か、普段じゃんじゃん買うはずのオイルマネーのやからが見あたらず、盛りあがりはいまいち。そんな中、客としてやってきた約10名のジャパニーズウーマンたちは、だいたいみなさん、ひとり100万円程度は買っているご様子だったので、ここミニチュアショーの現場に限っていえば、ジャパンマネーの威力はまだまだ健在、アキバではあんなに元気なチャイニーズたちも、ここシカゴには姿をあらわしていなかった。
近況②「ミニチュアコレクター誌のこと」
シカゴでは「さかつう」の坂本直樹さんがぼくのテーブルを手伝ってくれた、とさっき書いた。同時に彼はスイスイと、じつに身軽に会場を歩きまわり、しょっちゅういろいろなものを買ってきた。
「こんどは、これ、買ってきました…」
と、そのときは、ミニチュアコレクター誌のブースから、4~5冊の雑誌を買ってきて、わたしの横でパラパラっとめくってみせた。
そこではじめて気がついた。
「え、それって、オレの作品だ!」
というわけで、米ミニチュアコレクター誌の、2010年3月号に、拙作「石ノ森章太郎の机」が掲載されているのを発見! 彼がそのときその雑誌を買ってこなければ、おそらく永遠に気がつかなかっただろう。
近況③「月刊美術のこと」
すべてのショーが終わり、成田からの帰り道、リムジンバスの車内で携帯が鳴った。出ると月刊美術編集部の下川拓郎さんだ。「例の芳賀さんが掲載された雑誌ですが、やっとできあがりましたので、いまからお届けにあがろうかと…」
「OK、5時半には家にもどります」
「了解」
てなわけで、帰国の荷解きもせぬままに、またまた家の前の焼肉屋へ。まずは「お帰りなさーい!」「カンパーイ!」のあと、さっそく雑誌をめくってみた。
「へえ~、かっこいい写真だねぇ~」
「カメラマン王君をほめてあげてくださいよ」
「でも文章もいいよ。電気スタンドの薄明かりのむこうで、面相筆を操りながら作家がつぶやいた、なんてフレーズ、なかなか出てこないよ」
「ええ、わたしも12年やってますので…」
そんな会話を聞きつけて、店のママが寄ってきた。
「ちょっと、わたしにも見せてよ、え、これって、あそこの部屋なの、まあかっこいい! うちも本屋さんへ行って一冊買ってこようっと…」
言いながら彼女は、わたしの手元から雑誌を取りあげて、いつのまにか店の奥のほうにいるマスター(旦那)のところへ持って行ってしまった。
——-な~んだよ、バカヤロー、せっかく見てたのに~。
持っていかれてしまったのは「月刊美術」5月号、その「アトリエビュー」というページに、ぼくのアトリエのすばらしい写真が載っている。ママさん本当に買ってくださいね、そしてみなさんもね。
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2010年5月1日