ナンシーさんへの手紙

 このホームページの表紙の写真はだいぶん前から「馬具店」である。作品の依頼主は米・ナンシー・フローセスさん、表紙の写真を見てからは一刻も早く作品がほしいらしい。
 そんなことから今月ぼくがシカゴに行くときに、「コストを負担してもよいから、ぜひ馬具店を一緒に持ってきてほしい」というリクエストが、先月あった。
 そう言われてもモノが大きい上に破損も心配なので、研究してみるとだけ答え、それ以上の返事をしていなかった。 どう答えてよいか、わからなかったからだ。
 が、きのう意を決し、丸一日かけて、下のような返事を書いた。
 一種の“馬具店ネタ”としてお読みいただければと思います。

 親愛なるナンシー・フローセスさま

 【ケースA・わたしがシカゴまで運ぶ場合】
 まず、わたしの家から成田までの運搬に200ドルかかります。そして空港では受託手荷物が1個増えますので、超過料金がかかります。重さによって異なりますが、ユナイテッドの場合400ドル~600ドルだそうです。預かる際にコワレモノのシールを貼ってくれるそうですが、破損の責任は負えないとのことです。そしてこのケースでは誰かがオヘア空港までむかえに来てほしいのです。作品はひとりでは持てませんので。
 ——–コスト計:約800ドル

 【ケースB・運送会社に頼んだ場合】
 作品の運搬を運送会社「西濃運輸」に頼んだ場合、私の家からあなたの家までの運送代は800ドル、到着まで一週間だそうです。そして万一破損した場合、補償をしてくれるそうです。そのため、梱包をプロフェッショナルに頼まねばならず、それに約300ドルかかります。プラス損害保険料が約100ドルです。
 ——-コスト計:約1200ドル

 作品が完成した暁にはぜひあなたに一度見ていただき、どこも壊れていないことを確認してほしいと思っておりました。電球や電気配線のことを説明し、作品を分解するための手順をお見せしてから、引き渡すつもりでした。一番手前の電球を取り替えるためには、あるていど作品を分解する必要があるからです。
 しかし【ケースA】、【ケースB】いずれの場合もそれらの説明はできません。でも仕方ありません。あなたがお望みならば、いずれの方法でも手配をいたします。
 なお以前、作品に台がついた状態での図と寸法を郵便でお送りいたしましたが、今回お示しした料金は作品本体のみ(台なし)の値段です。
 どうぞよろしく。

 ——-以上がナンシーさん宛ての手紙だ。
 最初は長かった手紙を大幅に圧縮し、最終的に上のような長さにまとめ、もちろん英語に翻訳して送った。が、返事はまだ届いていない。

台座がついた状態での「馬具店」
上半分が作品本体です


2010年4月3日