何度もお伝えしているように、表題の馬具店を、年末までに完成させなければならない。それなのにである。満足のいく完成形状をいまだに描き切れず、着手にはいたっていなかった。本当にこれで大丈夫なのか、今度こそ失敗するのではないかという不安にさいなまされ、いまいち自信が持てなかったからだ。間違ってヘンなものができあがってしまえば、トラブルになる可能性だってある。ましてや今回の依頼主はアメリカ人。どんなものを求めているのかが、どうもよくわからない。よって万人が絶対気に入るであろう完成形を、考えて考えて、考え続けてきたわけだが、いつまでたっても決定的な完成イメージを見いだすことができなかった。
そんな状況をなんとか払拭せんと、先日意を決し、かんたんな数枚の絵を描いてみた。全体のかたちがわからないので、とりあえずは建物の正面図だけを描いた。
そしたらである。
突然もりもりヤル気がわいてきた。まるでマイケル・ジャクソンにでもなったかのようにスイスイ体が動くようになり、メシを食ったあとでもそんなに眠くはならず、長時間集中することができたおかげで、ふと気づいてみたら、下の絵のようなファサードが、もうだいたいできあがってしまったのである。
しかも、わりとよい出来ばえだ。
不思議なものでファサードができあがってしまうと、今度はそれに見合う室内を求めて、自分の頭が勝手にうごめいている。これっぱかりの絵をきっかけにして、遅ればせながら、やっと歯車が回り始めた。
2009年7月23日