馬具店のはなしはその後どうなったんですか、とたまに訊かれることがある。
きょうはそのはなしから。
以前6月1日のこの欄で、表題の馬具店内部の写真を紹介した。壁の上段に馬の首輪がズラッと並んでいて、その下になにやら黒っぽいものが密集して見えている写真だった。その黒っぽいものがなんだかわからなかったので、知っている人がいたら教えてほしいと呼びかけた。そこまでが前回のはなし。
その後、数通の回答メールをいただいた。その中に、写真の店は馬具店ではなくて、駅馬車のストレージルームではないかとおっしゃる方がいて、裏付けの写真も数枚添付されていた。下がその中の一枚だ。
見たとたん「これだ!」と思った。
写真を見ると首輪の下の黒っぽいものの正体は馬のベルトのようである。
そのように、馬の首輪とベルトが大量に壁にかけてあり、床に旅行カバンが積みあがっている場所、それは、そこが駅馬車のストレージルームだったことを示しているとその人はおっしゃった。ところがこの仕事のクライアントは馬具店だと言っている。ただちに納得するわけにはいかなかった。そこで今年の夏に、米カリフォルニア州のゴーストタウンへと出かけた折に少し足を伸ばして、ついでにサクラメントシティへも立ち寄った。そこに有名な駅馬車ミュージアムがあると聞いていたからだ。
さっそくミュージアムのマダムに、馬具店の写真と一緒に駅馬車ルームとされる写真を見せて、これらはおなじものかと尋ねた。
いくら英語がダメでもそれぐらいは訊ける。
するとマダムは「もちろんです」と断言。
専門家に断言されたとあれば仕方がない。以後盗っ人リバーの馬具店は、駅馬車のストレージルーム的形状で制作することに決め、すでに数ヶ月前からポチポチ部品をつくりはじめている。しかしこの仕事の完成予定は来年年末なので、まだまだ余裕のヨッチャンである。
そして、上のはなしとは別に、実はあるひとから、むかしの遊郭の座敷をつくってほしいというはなしがあって、こちらはつい最近制作をスタートした。納期は来年2月末。だから現在フルスピードで対応している。縮尺約7分の1という、あんまり聞いたことのないないスケールで鋭意制作中であるからして、かなり大きな作品になりそうだ。
そんなわけで、この年末はちょいとばかり忙しい。
2008年11月24日