最近つくったアートインボックスに「白い石炭商人」(原題名・AU BOUGNAT BLANC)という作品がある。第二次大戦後のパリに実在したキャフェバーを、わりと忠実に模型化したもの。看板に大きく「AU BOUGNAT BLANC」と書いてある。下が実物の写真だが、作品のほうはアートインボックスセクションに、すでに掲載してある。だいぶん前に完成していたので、もっと早くお知らせしたかったが看板の意味がわからず、調べていて遅くなった。
さて、「白い石炭商人」(AU BOUGNAT BLANC)とは?
知り合いのフランス語通数名に問い合わせたが、いまひとつピンとくる答えが返ってこなかった。そうこうするうちに、アニー・デュボワさんというベルギー在住のミニチュアリストを思いだし、ひさしぶりに彼女に、問い合わせのメールを打ってみた。
ベルギーはフランス語圏である。
そしてやっと納得のいく答えが見つかった。
実は、ぼくからの問いに対しデュボアさん自身も正解がわからず、仕方なく彼女は、知り合いのフランス人女性に問い合わせたそうである。
下がその回答だ。
——-AUは冠詞で、BOUGNATは石炭商人のこと。そしてBLANCは白なので「AU BOUGNAT BLANC」は「白い石炭商人」という意味です。概して彼らは大酒飲みだったので、彼らの名前はいつしか大衆が好む安酒のことを指すようになりました。すなわち「AU BOUGNAT BLANC」とは、白ワインにリッカー酒を混ぜたアルコール飲料の名前です——-。
な~るほど、目からウロコである。白い石炭商人とは、なんと酒の名前だったのだ。だからキャフェバーの看板になっている。まあ日本でいえば、浅草の「電気ブラン」みたいなもの。ただ石炭商人が白いのか、あるいは彼らが扱っていた石炭が白いのかは依然としてわからない。そのどっちにせよ白ワインにリッカー酒を混ぜたものならば「白い(無色透明な)酒」であることは間違いなさそう。
というわけで、最新作「白い石炭商人」(AU BOUGNAT BLANC)を、あとで是非ご覧いただきたい。
2008年4月8日