芳賀一洋のミニチュアコレクション

 いつのまにか私のキャビネットにはたくさんのミニチュアパーツがたまっていた。手元にあると便利なので少しずつ買いためていたが、なにしろ細かい品物である。次第になにがどこにあるのかがわからなくなってきた。棚でもつくってきちんと並べておけばよいことはわかっている。しかしつい小さな箱にしまいこんでしまうため、使うときに探せずに往生する。加えて先日、かねてよりアメリカの業者に発注していたミニチュアパーツ一式が到着した。その整理整頓には丸一日かかったが、そしていよいよ収納が困難になってきたと感じた。これはやっぱりどこかに専用の棚でも設けるしかあるまいと、せまい作業場の壁をにらみながらあれこれ考えた。棚をつくるのは簡単だ。が常に部屋中におがくずが舞うという埃っぽい環境ゆえ、むき出しのままではたちまち埃にまみれてしまうことは目に見えている。するとガラスキャビネットのような陳列ケースが一台必要となり、大袈裟だし、ジャマだし、カネもかかる。そこまで考えたときにハタと名案ひらめいた。
「そうだ、ぜんぶをイエローサブマリンに持っていってしまおう!」

 すでにご存知の方もいらっしゃるだろう。秋葉原のイエローサブマリン(有名ホビーショップ)には「芳賀一洋作品展」という看板のかかった地味なコーナーがあって、ガラスケースの中に納まった3~4枚の棚の上には小さな作品ばっかりがいろいろと並べて置いてある。私はそのことをすっかり忘れていた。緊急にこの棚を整理して、たまっているミニチュアパーツ類をズラッとそこに並べたらさぞかしわかりやすいだろうとひらめいたのだ。秋葉原までは自転車で約30分。なにかが必要になったときにはヒラリと自転車にまたがって自分の棚を見に行けばよい。運動にもなるし、ごちゃごちゃ家で探しているよりはよっぽど便利で、気分もよかろうと考えた。
 そんなわけで私のミニチュアパーツ類は、ただいま一通りの値段をつけて秋葉原のイエローサブマリンまで逐次移動をしている最中である。しかしそれらの値段付けにはかなりの手間と時間がかかっている。なにしろ一個が100円~200円といったちまちまとしたもののうえ数が多いからだ。
 下に写真を掲載したが、今回陳列したものは主に12分の1スケールの、いわゆるドールハウス・ミニチュアパーツと呼ばれているものばかりである。棚の上には「芳賀製パーツ」も「非・芳賀製パーツ」も一緒くたに並べた。まだまだ追加するつもりではあるが、現段階でほぼ半数以上がでそろったと思われるので、本日ここに紹介することにした。コーナータイトルは「芳賀一洋のミニチュアコレクション」とし、棚の中央には以下のようなキャプションを掲げた。

●芳賀一洋のミニチュアコレクション
 知らないうちに私のキャビネットにはたくさんのミニチュアパーツがたまっていた。いつか使おうとおもい買いためていたが、次第に量が増えてきて、だんだんとわからなくなってきた。そこでその一部をここに並べることにした。海外から仕入れたものや、各地のミニチュアショーで調達したものなどいろいろだが、もちろん私のオリジナルパーツや、私の作品もこの中には含まれている。仕入品にかんしては色やディティールなど手をほどこしてあるものも多い。安いものや高いもの、私の作品やら私のパーツなどが種々雑多に集合した、ここは私のミニチュアコレクションである。
――はが・いちよう

 知る限り東京には現在これといったミニチュアパーツの店がなく、急に何かが必要になったとき、わざわざ海外から取り寄せるのでは不便である。それで私もこんなに溜め込んでしまったわけだが、みなさんとて同様と思うので、なにかが必要になったときにはぜひ一度この棚をご覧になっていただきたい。
 ――場所は、秋葉原ラジオ会館7階「イエローサブマリン・スケールショップ」(tel.03-3526-3071)の中です。なおラジオ会館は、秋葉原電気街口を出てすぐお向かいにあり、「世界のラジオ会館」という巨大なネオン看板が目印です。

イエローサブマリンの芳賀コーナー
撮影:渡邊 格


2005年7月24日