ミニチュアコレクター

 7月23日付けのこの欄で「ドールハウスミニチュア」(Dollhouse Miniature)という米国の雑誌で私の作品が取り上げられたことをお伝えした。そして今回は「ミニチュアコレクター」(Miniature Collector)という雑誌についてお伝えしたい。
 米国では現在、上記2誌を含めて計4誌程度のミニチュア系マガジンが発行されているらしい。中でもドールハウスミニチュアはビギナー向けの記事が多く、比較的初心者向きの雑誌といえる。対してミニチュアコレクターは上級者向きの雑誌で、私の知る限り米国ではもっともクオリティーが高い。この雑誌で最初に私の作品が取り上げられたのは2000年の春、シカゴのミニチュアショーに参加したときのことだった。2日目の夕刻、客がまばらになったころを見計らったように、ツカツカと大柄な女性が私のブースにやってきた。真っ黒なパンタロンスーツに身を包んだ彼女は、陳列してあった「サウンドオブサイレンス」という題の拙作を威厳十分な態度で指差し、「ちょっと貸してくれ」と言って、どこかに持っていってしまった。
「一体なんだろう?」
と思っていたら、それがミニチュアコレクターのひとだった。
 数ヵ月後、片面1ページを使って私の作品を紹介してくれた。
 その後、去年ニューヨークのショーに参加したときにも、やはり彼らは私の作品を気に入ってくれて、このときは確か2回にわたり数点の拙作を取り上げてくれた。彼らは私に対しては常に結構親切なのである。そして今回、2004年の7月号と11月号の二度にわたり、ふたたび私の作品を取り上げてくれた。そこまではいいのだが、自分の作品が掲載された雑誌を入手するのには毎回苦労している。日本なら掲載誌は必ず雑誌社から一冊タダで送ってくれる。しかし外国の雑誌社はヨーロッパも含めてそういう習慣がないらしく、だいたいからして掲載されたのかどうかさえもわからないというのが現状である。(あるいは私が日本在住だから連絡してくれないのか?)今回の11月号のときも、拙作が掲載されているという情報はアメリカの友人(ルーシー・マローニー)さんから聞き、はじめて「え、そうなの?」という具合だった。掲載されたと聞けば見たいのが人情。とりあえず私は国内のミニチュア屋での取り扱いがないかどうかを尋ねてみた。しかし「扱っていない」という返事だった。しょうがないのでルーシーさんに頼んだところ、先日エアメールで送ってくれた。
 下に写真を掲載したが、写真に見える見開きページの裏側にもいくつかの作品がとりあげられていて、計3ページにわたっての扱いだったので、なかなか悪くないと思う。
 しかし問題がひとつあって、私のサイトアドレスが掲載されていなかった。もちろんエディターに対しては毎回そのことをお願いしているのだが、彼らは一回も私のサイトアドレスを掲載してくれたことがないのだ。不思議に思ってルーシーさんに尋ねてみた。
 「なにかの決まりがあって、サイトのアドレスは掲載できないのでしょうか?」
 彼女は、ただちに返事をくれた。
 「すでに編集者に対しては問い合わせのメールを打ちましたので、なんらかの返事があればお知らせします。しかし最近あなたの名前はこちらで良く知られています。またこちらのインターネットでは、ICHIYOHの名前からあなたのウェブサイトを探すことも簡単に出来ますので、心配することはありません‥‥」
 ま、そんな趣旨の返事があり、お説のようにあんまり心配しないことにした。

 いまのところ日本ではミニチュア系の雑誌は一誌も発行されておらず、仕方がないのでせいぜい米国の雑誌で点数を稼いでいるわけだが、お陰でこのごろ少しずつ知名度がでてきたようで、大変に喜んでいる。

ミニチュアコレクター誌より
2004年11月号


2004年11月12日