「のぞみちゃんの店」

  ぼくの教室がまだ渋谷にあったころ、のぞみちゃんは千葉のそのまた先の、確か四街道あたりから、はるばる通って来ていた。ときどき帰りの電車が一緒になると、ぼくが下車する田端まで、いつもたわいのないおしゃべりをしていた純真無垢な(に見えた?)、ポチャっとかわいい女子だった。
  それから20有余年。いまじゃ彼女は二児の母。(もしかすると上の子はもうハタチを過ぎているのかも。)
  そんなのぞみちゃんが、このごろ才女のごとき風格を身につけ、モーレツに活動している。
  去年は、若手女性の独立開業を支援する東京都の「創の実」プロジェクトに応募し、その狭き門を見事こじ開けて採用され、都の支援によって彼女のミニチュアショップを、自由が丘で手に入れた。しかし「創の実」には期限があった。一年ほどでその店を閉めると、時をうつさず、今度は自力での店舗立ち上げに着手し、先々月、新店舗のオープンを果たした。場所はおなじ自由が丘(世田谷区奥沢5-28-15-4F)。店の名前も以前とおなじ「Upfarfield Dollhouse Salon」。広さもおなじく10坪前後か。
  彼女は「Upfarfield」のオリジナル商品の開発(主にエッチングパーツ類であるが)にも熱心に取り組んでいるので、店に入るとまず額装されたエッチングパーツが目に入る。反対側の壁にはいまをときめく有名作家たちによる花や、人形や、バスケットなどが所狭しとならんでいる。
  ちょっとびっくりしたのは「松原みろん」という人がつくった物凄く小さなビスクドール。身長5センチぐらいだろうか。ディティールがすごかった。そのとなりには我がクラブ(渋谷クラフト倶楽部)の坂本なぎさ(田島なぎさ?)ちゃんがつくった薔薇が7〜8本置いてあったが、これまた非常に美しかった、エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ、他にもまだまだ見るべきものは山ほどあり、書き出したらキリがない。
  みなさんも是非お出かけください。

写真中央がのぞみさん。
のぞみさんの旧姓は上遠野(かとうの)という変わった苗字だった。これを英訳するとUp Far Field。なので、それをそのまま店の名前として使っているそうだ。