「TVの取材があった」

  ひさしぶりにテレビの取材があった。
  毎週日曜日の午前11時半からBS・TBSで放送されている「こころめぐり逢い・二胡と匠の旅」という番組における「匠」の役を、あろうことかこのわたくしが仰せつかったからだ。
  取材班は1月31日の朝10時に第一班が到着し、やがて第二班、三班と次々に到着し、午後になるとスポンサー企業のマネージャーや、二胡奏者や、伴奏者らが到着。ピーク時には10名を超える関係者がボクのボロスタジオに集結した。彼らの機材や手荷物は玄関先の猫の額ほどの庭に積み上げられ、それでも置ききらず一部はスタジオ横の路地にまではみ出していた。その異様なさまを道行く人々がいぶかしげに一瞥し、通り過ぎていく。
  午前中はギャラリー内部や、田端駅にまで出かけて「東台橋」を撮影。昼休後は、二胡奏者ジャー・パンファンさんとボクとの対談だった。対談中デレクター筋からアレを喋れ、これを喋れと、やんわりとした指示があり、大体はその通りにしゃべった。その後ジャーさんの演奏があって、終わったのは午後4時だった。二胡という楽器を目の前で聴くのは生まれてはじめてのことだったが、なぜか懐かしく、優雅な音色は、しみじみと心に響いた。
  演奏後ジャーさんたちはすぐにお帰りになったが、数名のスタッフはそのまま残り、制作シーンの「やらせ映像」や、その他いくつかの仕掛品などを撮って、やっとこの日の取材が終了。すでに日はとっぷり暮れて、全員がお帰りになったのは午後の7時に近かった。
  いまごろ編集をやっているころだろう。
  放映日が決まったらまたお知らせいたします。

スタジオには3台のカメラがならべられ、ほかにも照明器具や録音装置など、色々な機材が持ち込まれた。それらの電気のコードがモジャモジャと床を這い、室外の電源へと繋がっている。そのため部屋の扉が閉められず、ずっと開けっ放しの状態だった。従ってエアコンもストーブもほとんど効かず、スタジオの中はものすごく寒かった。しかしオンエアーされるのは3月下旬なので、あんまり厚着も出来ず、それが、ちと辛かった。