これってヤバくない⁉︎

 このところ「トキワ荘講演」(5/1日付記事あり)のことで頭がいっぱいだ。企画書を見ると講演時間2時間となっている。金を払って聴きに来た客を、しゃべりで2時間ももたせるなんて尋常なことじゃない。しかも今回はテレビも入るという。
 あまりにも不安なので、先日車で、講演会場「豊島区千早地域文化創造館」まで打ち合わせに出かけた。午後2時、駐車場に車を止め、ふと前を見ると
 「おおおおおぉ〜 鍍金工場だぁぁぁぁ!!!」
 小さな鍍金工場が午後の陽光を浴び、半開きの扉の中で工員たちがうごめいている。こりゃー写真を撮らねばならんとただちに車から降りてスマホを構えたちょうどそのとき、佐川急便の4トントラックがやってきて建物の真ん前に路上駐車。
 「な〜んだよ〜まいったな〜」
 工場はまったく見えなくなり、イライラしながら約5分待ったが一向に去ろうとしない。マズイ、これ以上待つと遅刻になる。やむなくわたしはその場を離れ、打ち合わせへ。そして帰りに、ふたたび駐車場に戻ると、さすがにもうトラックの影はなく、かなり西に傾いた日差しが、工場の上半分だけを照らした、なんとも“つげ的な”シュールな写真が撮れた。
 つげ義春は中学校卒業と同時に地元の鍍金工場に勤めるが、仕事がイヤで、マンガを描き始め、1973年には「大場電気鍍金工業所」という傑作を残している。先月ゆうさんが完成させたのも「鍍金工場」だ。その鍍金工場が(当節めったにお目にかかることのない鍍金工場が)このたびの講演会場の目の前にあったなんて、これって、ヤバくない⁉︎

手前の石畳が千早文化創造館の駐車場。車が7〜8台止められる。その駐車場の手前がこのたびの講演会場である「千早地区文化創造館」だ。つげワールドが正にその目の前にあった。